詰まった!!
僕の窮屈な頭蓋骨の中身。
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亀の甲4
「いつになったら戻ってくるのかしら。もう日がしずんできたわ」

少女の言うとおり、部屋の内部は薄暗くなり、天井が夕焼けに染まって赤黒く光っていた。

「もしや、崖を降りるときか、登るとき、何かあったのでは・・・」
「まさか、逃げ出したんじゃないでしょうね」
「そんなこと無いとおもうけどなぁ」

沈黙が続く。
天井は群青色になり、ついに夜になった。

「夜になっても暖かいのか」
「そうだね、不思議」
「もう戻ってくるのは期待できない、なんとか3人であがる算段を考えないと」
「そうだけど、夜に動くのは危険だ」
「うん」

あたりは完全に暗闇となった。

「ねえ」
少女が声をかけた
「何?」「何?」
「ちょっと不安になって。ここは、初めて来た場所だし、家族いないし、挙句の果てに死体まであるのよ、なんか怖い気がするの」
「明日になったら3人でなんとかしなきゃいけないんだから」
「でも、4人がかりでようやく1人この部屋から脱出できたのよ、3人じゃ、出られるのかしら」
「なんとかなるでしょ」
「たとえば、1人助かって、2人助かって、最後の1人は上から手を伸ばしても届かないのよ。誰か1人犠牲になんかならないでしょうね」
「そんなことは無いよ・・・きっと」
「は・・・」

不安がよぎる。周りは異常なほど静かなのに、それを感じていることをできないくらいの不安。

「ねえ」
「何?」「何?」
少女は、暗闇のなか、片方の少年のほうに向かって、手を触れた。
「あなたは、どっち?」
「どっちって、何?」
「私以外に2人いるのよ!区別が付かないじゃない!」
「俺は、ここに入ったとき、最後尾だったよ」
「なんで区別をつける必要があるんだい?」
もう1人の少年が言った。
「私は、今、誰かのすぐそばにいるのに、その相手が識別できないって、恐ろしいじゃない!」
「?」
「あなたたちは、片方が女で、もう片方が男だからはっきり区別がつくわ!でも、私は、2人の明確な区別ができないのよ!この恐ろしさは、あなたたちにはわからないわ!」
「・・・そうかもしれない」
「よく考えれば、私たちは今まで村で識別することが無かったのよ。みんな過剰なほど平等だったわ。でも、今は、一人一人の役目、能力の違いがはっきり必要なのよ。なんとか区別する手段が欲しいわ!」
「しかしどうやって?」
「たとえば、木を識別するとき、私たちは、杉とか松とか柊とか、そう名前をつけて呼んでいたわ。私たちにもそういう"名前"をつければいいのよ」
「確かに、誰かを明確に区別できるのは便利だ」

少女に触れていた少年は、少女の手をとって、言った。
「俺は、杉になろう」
「じゃあ、俺は松になる」
「私は柊ね」

夜も更けてきて、3人に眠気が襲ってきた。

「ねえ、杉」
「なんだい」
「私、あなたの隣で寝ていいかしら」
「ん」
「松もこっちに来てよ」
「うん・・・」

こうして"杉" "松" "柊"の3人は、眠りについた。


<<多分続くね>>
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