詰まった!!
僕の窮屈な頭蓋骨の中身。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
亀の甲
昔、むかし、それは、もう今では忘れさられたほどの昔のお話。

地球の真ん中の小さい島に、何百人かの人が住んでいたそうな。
その人達は、生活には不自由していなかったが、また、暇を作るのにも苦労しなかった。
3日に一回振る雨は、恵みをもたらし、5日に一度おきる強い風も、夏では涼しく、冬も、損害を与えはしなかった。
ただ、同じ年月の繰り返しに飽きた若者一人が言った。
「まだ、この島には知られていない場所が一箇所ある。行ってみよう」
「知られていない場所って、この島の中心の崖かい」
「そうだ」
「やめておくんだ。あそこはこの島唯一の神聖な場所なんだ」
「神聖といったって、その崖の上を見た人は一人もいないではないか」
「見ないほうがいいんだよ。この島は、生活に不自由していない。これ以上何を求めると言うんだ」
「このまま何も知らずに死ぬよりは、やはり少しでも多くのことを知って死にたいじゃないか」
大人たちは止めるが、若者は、かまわず言った。
「崖の上を見たい者は集まれ!」
「私が行くわ」
真っ先に少女が手を上げた。
「俺も行こう」
「僕も!おもしろそう」
結局3人の若者が集まり、4人は、島の中央にある崖に向かった。

「これがこの島の唯一の未開拓地だ」
周囲300mほど、高さは30mほどの円柱状の崖だ。
聳(そび)え立つ壁のような、その崖。
垂直に立っていて、足場になるようなところも少なく、登るには難儀しそうだ。
「どうやって登る?」
「くぼみを一定の間隔につけて、それを足場にして登っていけばいいんじゃないかな」
「それしかないか」
「動物の骨を崖に差し込んで足場にしたほうが安全じゃないかな」
「なるほど」
「何かあったらすぐ降りれるように、ロープをつけておいたほうがいいんじゃないかしら」
・・・
登り方を思案しているうちに、日が沈み始めた。
「夜になったら危険だ。蛇とかに襲われるかもしれないからな。どうだ、明日、道具を持って集合ということでどうだろう」
「構わないわ」
「そうだね」
「では、島の集会場に、そこから見て、崖の天辺から日が昇り始めるときに集合しよう」
「わかった」
4人は、いったん家に戻った。

「ちょっと来なさい」
「なんだい、お父さん」
「崖に上るんだって?」
「そうだよ。いいだろ?」
「だめだ」
「行っちゃいけないの?」
「もともと、あの崖はこの島の象徴であってみんなあの崖を見つめながら暮らしてきた。先祖代々そうしてきたんだ。中には登ろうとした人もいた」
「無理だったのかい?」
「もう60年くらいも前になるという話だ。男たち4人組で登った人たちがいたんだが、1人は7割くらい登ったところで落下、即死だった。残った3人は登りきったらしいが、結局帰ってこなかった」
「帰ってこなかった?」
「そう。2日たっても戻ってこないから、何があったのだろうか、とみんな心配して、助けに行ったんだ。そのときに、落下した人の死を知って、みんな恐ろしくなり、天辺へはだれも助けに行かなかった」
「ふうん」
「だから、結局4人は全滅したことになるんだ。お前がいなくなったら、俺はどうやって生きていけばいいんだ。行くのはやめなさい」
「わかった」
「それが懸命だ」

そして次の日の朝。
「まだ起きてないのか」
・・・
「おいっ」
・・・
「まさか・・・、抜け出して崖に行ったのか!」

集会場に集まった4人。動物の骨、ロープ、布、食料、スコップ、トンカチなどを持って崖の方へと向かう。

そして、崖についた。
「さて、これから登るわけだが、先行が骨を打ち込みながら登っていく。後続はとりあえず荷物を持って登る。危なくなったら降りられるように、ロープをすぐ取り出せるようにしておくんだ」
「了解」
「先行はだれにする?」
「私がやるわ」
「君が?」
「荷物を持つのは男の仕事、私が、道を開いてあげるから」
「俺はいいけど、みんなは?」
「いいよ」
「じゃあ頼む」

カーン、カーン
地面から50cmほどのところに打ち付けられる。
また、1mちょっとのところに打ち付けられる。
用意した骨は85本。この様子なら足りそうだ。
そして、7本打ち込んだら、二番手が登る。
ロープを持っているのは、二番手だからだ。
18本打ち込まれたところで、三番手が登る。安全を確認しながら慎重に。
2時間ほどたっただろうか。43本打ち込まれたところで、一番高いところにいる少女がふと景色を眺めた。
「あら、ステキな景色だわ」
と、下を見ると、その高さに驚いた。
登るとき、近くにあった岩は、はるかに小さくなり、後続の人達が、必死に、命からがら崖にしがみついているように見えた。
その高さは、少女にとって初めて体験する高さ。木登りの時とは比にならない。
そして、足場は、木の枝よりも細く、狭い、20cmほどだけ突出した骨。
崖の岩は、嫌なほど冷たかった。
ふと感じれば風が強い。
気持ちを落ち着けて、44本目を打つ。頂上まではまだまだ遠い。
今まで登ってきた高さの、3倍にも4倍にもなるように見えた。
背中に背負っている骨の重さは半分になっていたが、感じている重さは倍になっていた。
45本目、左手で足場の骨をつかみ、右手で骨を壁に打ちつけ、トンカチでたたく。
左手は、流れるほどの汗がでていた。
46本目。
「下を見たからこんなことになったんだわ。上だけを見ていきましょう」

「お~い、大丈夫か」
2番手が言った
「ええ、ええ、ええ、大丈夫よ、さあ次で何本目だったかしら」
「47本目だよ」

風はますます強くなる。

48本目。
49本目。
「いままでやってきたことをあと十数回繰り返せばいいんだわ、ここまできたんだもの、楽勝じゃない」
49本目を左手でつかみ、50本目を打ちつけようとしたところ、風が筒を通り抜けた、ヒュー、というような音がした。
「何の音?」
少女は恐怖にかられる。
「わあっ、大丈夫か!」
3番手が叫んだ。
4番手が足を滑らせたのだ。
何が起こったかわからない少女は、50本目を打ち込み終わり、51本目の作業に取り掛かった。
「落ち着け、ちゃんと足を確保するんだ!落ち着いて」
(何よ、そんなことわかってるわよ、何言ってんの・・・)
少女は、自分のことを言われていると思い、気にせず、51本目を打ち込み終わった。
4番手は、なんとか体勢を立て直し、また上り始めた。
(疲れた・・・、帰りたい、、でもここで帰ったら、みんなの笑いものだ、そんなことできるか)

それから20分
少女は、はっきり風が強くなっていることを感じていた。
59本目を打ち終わった少女。
「次、何本目だったかしら!」
「え?何、聞こえないよ!」
「え?」
風のせいか、声がうまく伝わらない。
「もういいわよ、あと5~6本で頂上なんだから!」
少女はしゃにむに、60本目を打ち込み、
また、61本目にとりかかった。

2番手には、心のなかに恐ろしい恐怖を抱いていた。
2番手は、この崖登りの発案者だ。もともとは、1人で登ることも考えていた。
しかし、どうせなら仲間がいたほうが楽しいだろうと思って誘っていた。
そんなことがありながらも今、風のせいでコミュニケーション不能になり、強い孤独感と恐怖を感じていたのだった。
(下を見てはいかん、あと少し、もう60本くらい打ち込んでるはずだ。さっき50本で、今、何本だっけ・・・)

それから20分。ついに、少女が上りきった。
急いで使った骨の本数を確認した。残ったのは、16本。69本の骨を打ち込んだことになる。
道はすべてできた。続々とあがってくる。
無事に4人全員上がりきった。
そこは、草むらだったが、中央に、大きい、直径40mくらいの、岩のようなものがあった。

それは、

「これは、、亀の甲羅だ!」


<<おそらく続く>>
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2005 詰まった!! all rights reserved.
Powered by FC2ブログ.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。